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M-1グランプリ2018感想

去る12/2(日)に開催・放映されたM-1グランプリ勝戦の感想を書こうと思う。

本当なら月曜日か火曜日あたりに書き上げて投稿したかったのだが、仕事の多忙を理由に怠けてしまった。

おかげでその間に、ある人たちの方ばかりが注目を浴びてしまい、どうやら優勝者よりそちらの名を聞く機会の方が多くなってしまった。前回にも増して上沼恵美子への不満をネット上で呟く視聴者が多かったけれど、ただ巻き込まれただけとはいえ結果的には出場者よりも彼女のほうが話題を集めてしまった。

まあこれについても、余裕があれば触れる。まずは兎角、「ネタ」である。

 

司会:今田耕司上戸彩

笑神籤引き手:吉田沙保里/阿部一二三/井上尚弥

審査員:上沼恵美子松本人志富澤たけし立川志らく塙宣之中川礼二オール巨人

 

■審査員紹介

あまりここで話すべきこともないのだが、今回は立川志らく塙宣之(ナイツ)が初の審査員に。

志らくは、師であり立川流の「家元」立川談志が1組に50点をつけるなどしたことを引き合いに出し、「普通の審査をしようと思っています」が「談志が降りてきています」とコメントした。これは、彼が談志から生前、「最も俺に似ている」と言われていたことや、今もリフォーム後の談志宅に住んでいることから考えた冗談の類だったのだろうが、その文脈を知らなければあまり面白くなく、また困ったことに、あまり知られているようなの事柄でもない。

この志らくの小スベりを塙が「内海桂子師匠が降りてきている」と引用し笑いに変えていたのは良かった。

 

■敗者復活戦結果発表

プラス・マイナスとミキの一騎打ちと相成ったわけだが、プラス・マイナスに陣内が話を振った際に、オール巨人の物真似をしなかったことに関して、「物真似せえ。何しとんねん。あいつ」と少し「しょうがないなあ」という感じで笑いながら言うオール巨人は、その後の本戦でのコメントにも滲み出ていたあの感じがして、今にして思うとそれもまた良かった。

上沼恵美子激推しのミキが視聴者投票の結果大差で勝利し敗者復活。

敗者復活戦の感想も書きたいが、マユリカまで見たところで寝落ちしたので書けない。

 

 ○

 

■見取り図 606点

結婚を意識してお付き合いしたい、というテーマといい、全体的にオーソドックスなスタイルとなっていた。またその中で話題がわりと移り変わるため、4分間のネタとしてのドライブ感というか迫力が薄くなってしまっていた。密度も。

富澤の評にもあったように、「ジャンボ勾玉」など面白いフレーズが幾つかあり、かつツッコミの盛山の声がハイトーンで特徴的なので、このツッコミがハマればもっと爆発し得ただろうし、実在しない人物をあたかもいる感じで流していたというネタは実際すごくウケていた。惜しかったな、と思ってしまった。

なお1組目だからか審査員全員にコメントが振られたが、この際の志らくの「最初は目新しさもないし50点付けようかと思った」という発言や、全体的にアドバイス然としたコメントから、真面目に品評をする空気が生まれてしまった。無論、審査員はいつも真面目にするのだが、それが客席にまでやや伝播したのが、少し痛かった。

 

スーパーマラドーナ 617点

隣人が温厚な顔をした怖い人いわゆるサイコキラーだったら怖いよね、という話からコントに入るネタ。武智が「怖い人」をするのだが、M-1決勝の常連である彼らのネタの傾向を踏まえれば、それはつまり田中がよりヤバいやつをするという宣言でもある。

実際、ドアを勢いよく閉めてドアを何個も閉める導入部分は完璧。次に田中は何をして武智を怖がらせるのだろう? とワクワクさせられた。しかし、包丁で少し刺したり、謎のギャグを披露したりと「狂人」っぷりを田中が披露しても、いつもよりキレが悪く映ったのは何故だろう?

思うに、武智の「怖い人」っぷりがステレオタイプすぎたのではないか。もちろん、それは田中の「よりヤバい」感じを強調するためなのだろうが、これがネタ全体に重さをもたらしてしまっていたような気がする。田中が1人で状況を再現し武智が横からツッコミを入れるスタイルも決まっていたように、田中の演技力は磨かれているのだが、今回の武智のサイコキラー演技がなかなか本人にハマっていなかったのが痛かった。

それでもこれが、田中の魅力を一番出せると思い選択したネタだったのだろうし、武智も「今年一番のネタでした」と言い切ったのはちょっとだけかっこよかった。まあ、そのあとでアレなことになるのだが。NON STYLE井上の当て逃げ事故に同乗していたりと、武智は何かと脇が甘い。

 

かまいたち 636点

タイムマシンで過去に戻れたら。このありがちな仮定に、あの娘に告白したい、とありがちな夢想をする濱家と、ポイントカードを作りたい、と言う山内。当然、山内の方がズレれいるとして話が進むのだが、次第に山内の論理性が勝ってきて、揚げ足を取ってでも自身の正当性を確保しようと濱家が自滅していき、ボケとツッコミが入れ替わっていく――このダイナミズムが会話っぽくて面白かった。つまり、ただマイクの前で喋っていただけの筈なのに面白くなっている、というような。キングオブコントチャンピオンなのにしゃべくり漫才で勝負しているのも、なんだかこう熱くさせる。

何が悪かったんだろう? と思うが、やはり後半がやや聞き取りづらくて、クエスチョンマークが頭に浮かんでしまい、やや引いてしまったのが原因なのかもしれない。だからか、漫才としてはヒートアップし勢いもどんどん増しているはずなのに、少し勢いがなくなったように感じた。

 

ジャルジャル 648点

小学校の頃やっていた遊びを懐かしむなかで、福徳が「国名分けっこ」という聞き慣れないゲームの名前を口にし、実践してみるところから始まる漫才。前年の「ピンポンパンゲーム」と同類の、半ばリズムネタ化したネタである。

今作は、前作ほど後藤が盛り上がらないので、福徳の言う「国名分けっこ」に翻弄される後藤という関係性が明確になっており、これが漫才として分かりやすくてよかった。後藤がずっと怪訝そうな顔をしてるのが何度見ても笑える。

ドネシアもゼンチンも少しだけ声の高さを下げて強調しているのだが、特に「チン」は金属を叩いたときの高い音のイメージがあるので、後藤が低いトーンで「ゼンチン」「チン」と言うたびに笑えてしょうがない。採点後のコメントではオール巨人が"天丼"の手法と結びつけて語っていたが、一番はそこじゃないか、と思う。

ただ2人がマイクの前で喋っていて面白い、という漫才のしきたりと、コント漫才とかXXを知らないとかのよくある漫才ネタの「嘘」をどうしてもできないというジャルジャルの生真面目さが産んだ、子供っぽいゲームにただ興じるという系統のネタは素晴らしい発明に思え昨年も大いに感動したのだが、本作はなおのこと素晴らしかった。なおあの「国名分けっこ」は、福徳が国名をどう言うかは毎度異なるらしい。頭おかしい。

ただし、こういうネタなので、ハマる/ハマらないの差が激しい。だから、あまり1位通過の漫才ではなかったのかもしれない。それでも彼らが高得点を出して最終決戦に進んでくれたのは嬉しかった。

 

ギャロップ 614点

モデル7人が揃っている合コンに4対4とするための人数合わせとして、毛利は頑なに林を呼ぼうとするというしゃべくり漫才である。

ここでは、ボケは「20代のモデル7人が揃った合コン」に「ツルツルに禿げた162cmの40代男性」である林を人数合わせでアサインしようとすることであるのだが、どうにも不条理性が弱い。もちろん、実際にそれをされたら嫌だと思う人が大半だろうしその意味でボケとして成立するのだが、あくまで「合コン」でなく「20代のモデル」というその他参加者の存在が嫌がる根拠になっているからだ。そしてそれに対するツッコミの根拠が「禿げ」のみであるのが苦しい。あまりにも一辺倒になってしまい、ダイナミズムに欠ける。

また、このボケとツッコミの条件が相まって、禿げに関する「自虐」が20代のモデルたちとなんか比べたら僕なんて……という「卑屈」に聞こえてしまう。上沼恵美子の指摘した「自虐は笑えない」は少し誤りで、正確には「卑屈は笑えない」ではないだろうか。

 

■ゆにばーす 594点

遊園地ロケで写真を撮られ、「激ヤバブスカップル」とSNSに上げられたことから、遊園地ロケの練習をする、という設定のコント漫才だったが、終始上手くハマらなかった。「反吐が出るわ!」がいっさいウケなかったのが、キツかったかもしれない。

少しネタが荒かった感は否めない。まず、昨年の「同室宿泊の練習」は、それでもいいか、と事務所=よしもとが画策しているとはらが言い、そうなってもよいように、と練習するという流れだった。必ずしも同様の流れにしろ、というわけではないが、遊園地ロケという限定的な状況を、既に起こってしまったことの再来を防ぐために練習する、という設定にやや無理がある。また、漫才内コント内漫才がワンシーンあったが、どうにも構造が多層的すぎて難しい。それに、そのコテコテの漫才をするというボケそのものが長すぎて、リズムが一旦途切れてしまっていた。まあ「考え過ぎ」なのかもしれない。

「たくさんの児童が待機しているよ」とか「お前神奈川県民やろ!」とか、流石の面白いフレーズは今回もそれなりにあったので、非常にもったいなく感じた。

 

■ミキ(敗者復活) 638点

ジャニーズに勝手に兄・昴生の履歴書を送った弟の亜生と、その行為のおかしさを指摘する兄の昴生のハイテンポなしゃべり漫才。

家族が履歴書を送るもの、という都市伝説を大真面目に実践し、昴生のツッコミを自虐と捉えて励まそうとする亜生の狂気が面白い。それだけジャニーズが王子様みたいなイケメンの記号として成立していることも凄いが、それにより亜生の狂気を立たせ、自虐として昇華させたのは見事。絶対いけるって!  と言う亜生の、実は根拠が薄いこと。コウセイのコウは昴(すばる)って書くだけで、「ヤバない!?」と鳥肌が立っている旨のアクトを全力でやる亜生のおかしさ。

個人的な好みを言えば、昴生の声がうるさくて、なんだか一辺倒な感じがししまって好きではないのだが、「SMAPに入りたい」ってボソッと言ったあたりは面白かった。

ただ、こうも上沼恵美子がファンだとか言うと、贔屓されている感じが出てしまって、変に印象づけられてしまうような気がして、これはこれで不憫である。

 

■トム・ブラウン 633点

サザエさん』の中島くんを5人集めて最強の中島くん「ナカジマックス」を作るというネタ。こうして文字に起こすと意味がわからない。

中島くん4人に、中島みゆきが1人紛れた結果、中島みゆきが一人勝ち(?)してしまう。最初のうちは、この中島みゆきのキャラが強いというボケでルールを説明し、そこへ次第に木村拓哉などのキャラが立っている芸能人を混ぜ込んでいくとどんどん変化していくようになり、ネタのスピードも加速する。途中からはサンプリング音楽を聴いているみたいで、少し情報が多すぎて笑わざるをえない感じがして少し悔しい。

ボケのみちおがこのおかしいゲームを始め、ツッコミの布川は「何言ってるんですかね」と言い最初こそ観客の側に立とうとするが、その直後からもうゲームへのワクワクを隠しきれない感じが狂気をはらんでいて面白い。ツッコミが、みちおの頭を掴むという乱暴なものであるのも、同様に狂気である。

 

霜降り明星 662点

豪華客船に乗りたいせいやがその演技を横でするのに、粗品がツッコミを入れる漫才。

始まる前は、トム・ブラウンの直後とあって大丈夫か?  と思ったが、「ボラギノールのCMか」というツッコミが全てをさらっていった。あの「ちょうどいいところに決まる」ツッコミの冴えが素晴らしい。モテキ』のリリー・フランキーのセックスみたいで。

個人的には、ダンスパーティーのくだりが、テンポが素晴らしくて好き。

それにしても粗品は顔がいい。顔がいいから、少々ナルシスティックに正面を向いて行うツッコミが映える。

 

■和牛 656点

ゾンビになったら殺してくれるか? という問答を繰り返す漫才。

まず設定がおかしいのだが、。水田は心が残っているかを重視するのに対して、川西は身体が腐っているかを重視する。これだけならば、人間とゾンビの境界は何かという問答にすらなり得るのだが、川西は「そこそこゾンビ」を許容するのに対し、水田はそれを「まだまだ水田」であるとして許容しない。この徹底ぶりがおかしい。

だが何より見ものは、「そこそこゾンビ」と化した川西に水田がご飯を作ってあげるコントが始まったところからだろう。ナチュラルに同棲していそうな二人もまずおかしいが、死後硬直している川西の演技が素晴らしい。カップルネタの女性もそうだが、和牛の面白さは何より彼の演技力に宿ると個人的には思う。完全にゾンビと化した水田に引っ張られる川西の足の動きが細かすぎて、腹が捩れるかと思った。

 

以上、1st ROUND。

得点数の上位3組(霜降り明星、和牛、ジャルジャル)が最終決戦に進出。

 

ジャルジャル 0票

ネタの入りに福徳のした「ジャルジャルでーす!」の名乗りが気になる後藤。お前だけジャルジャルみたいで嫌、と言うと、横でシャキーンって感じで決めポーズしてくれ、と言う福徳。実際にやってみて、なんだか添え物みたいで嫌だ、と後藤。

以降、後藤がいかに「ジャルジャルでーす!」の名乗りでの存在感が福徳と均等になるかを気にするくだりが続くのだが、このムキになる感じが面白い。このやりとりで、「自分を両手の親指で指す」動作の均等さを確保するというゲームのルールが説明されている。この流れは、ガソリンスタンドのコントに入っても続き、むしろコントを「ゲーム」が侵食してしまう流れも秀逸。

極めて彼ららしい漫才で、とても楽しく見られたが、一方で今にして思うとルール説明的な場面が長すぎたなような気もする。しかし、コント部分がゲームによって壊されてしまう構造を持っている以上、後半部分はあの長さが限界のような気もするし、他の要素を入れるとノイズになる。難しい。

 

■和牛 3票

オレオレ詐欺が心配だから、オレオレ詐欺の電話を自分で母親にかけて訓練をする、という設定のコント漫才

オレオレ詐欺の電話がかかってきたときの練習というイベント自体はありがちだが、それを自身の母親に行うという設定が狂っている。しかしそれも、あまり突飛な発想ではない。少しジャンプすれば考えついてしまう。それでもこのネタが抜群に面白いのは、自身の善性を疑わず人を騙したことに良心の呵責を感じていなさそうな水田の表情と、面白いぐらい騙されオロオロし怒る川西の表情という、二人の演技故であろう。本当に上手い。

騙し合いゲームが始まり、しかし水田に踊らされる川西のくだりなど、展開もあって面白いのだが、いわゆる「上手さを感じすぎてしまう」の域に入ってしまっていた気もする。過去2大会連続で準優勝に終わっていた和牛の今年の闘い方が、技術を見せつけて他を圧倒し文句のつかない優勝をしてやろう、というものだったのかもしれないが、もしかしたらやや策に溺れてしまったのかもしれない。

 

霜降り明星 4票

小学校の想い出の各シーンをせいやが再現し、粗品がツッコミを入れる漫才。

給食、プール、校長室と場面がコロコロ変わるので実は話がバラバラになりそうなところを、私立校の特徴(ハンドドライヤー、冷房)や同じ厳しすぎる先生(喋るな、濡れるな)を登場させることで一本の話にまとめあげている。せいやのハチャメチャな動きに隠れているが、よく考えられたネタである。また、少し変わったワードを選択しているように見えて実はただの駄洒落も多く(例えば「プリンセス転校生」)、分かりやすいので笑いやすいのもバランスが良い。「7代目ひょうきん者」もリズムが良いし、歌舞伎の見得を切る動きなのも、耳馴染んだフレーズ(○代目市川xxみたいな)を思わせ、リズムの良さに拍車をかけているような気がする。しかし、やはりこの上手さは、せいやの奔放さに上手く隠されている。せいや粗品のフリップの代わりと揶揄する声もあるようだが、せいやあってこその霜降り明星の漫才なのである。

正直1本目ほどの爆発力があったかと言われると少し疑問だが、面白かった。

 

優勝は7票中4票を集めた霜降り明星

初の平成生まれかつ史上最年少のM-1王者となった。

最初から4票が霜降り明星だったせいで、その時点で彼らの優勝は確定。以降はずっと和牛の票だったわけだが、それを見ながら「よっしゃー!!」と叫ぶせいやがうるさくて、しかしなんだか勢いを感じさせてエモかった。後ろに立つ和牛らの表情もまた、心に来るものがある。

 

今年のM-1を最後に、和牛*1ジャルジャルスーパーマラドーナギャロップかまいたち*2は参加資格を失う。プラス・マイナスもそうだ。

だから来年ももし開催されるならば、今度は一気に世代交代が進んだような大会になるんじゃないか、と思う。そしてそうだとしたらば、その口火を切ったのは霜降り明星ということになる。

まあ、御託はよそう。霜降り明星、おめでとう!

 

 ○

 

最後に、目下話題となっている「アレ」について。

 

とは言っても、別にあの2人に対して、行為を品評してもしょうがないので、 審査自体について。

 

今回は、1組目の見取り図のネタ披露後、審査員全員にコメントを求めた。その中で出てきたコメントが、やや品評然としたものだったので、少し会場の空気が固くなったような気がする。無論彼らがするのは審査であり品評なのだが、先述のとおりそれが客席に伝播してしまったような。そして、その主犯はおそらく志らくである。

例えば、かまいたちに対する「魅力の前に技術は太刀打ちできない」という評は、「笑う前に考えろよ」というメッセージに受け取れてしまうし、ジャルジャルに対する「笑えなかったけど頭の中は面白いと言っている」という旨の評も、あれだけ笑ったあとに言われては少し興が醒める。そのような意図がなくても。そして別に、志らくにも、客席を怖がらせようという意図なんかなかったはずである。

志らくの評自体は、技術や伝統性よりも発想などに重きをおいたという点で一貫しており、また落語を引き合いに出さないのもあの場においては真摯さの現れであろう。ただ、あまりに露悪的に振る舞いすぎて、観客を怖がらせすぎてしまったのかもしれない。50点のくだりとか。

 

一方、あの騒動で「これを言えば大衆の支持も得られるだろう」として持ち出されていそうな上沼恵美子への批判だが、実際、放送中は多くの人がそれをSNS上に投稿していたものだった。

まあ確かにミキ98点はやりすぎの感があったし、あそこまでされてはミキもやや不憫なのだが、結局は品評など好き嫌いである。先程の志らくの「発想」ではないが、何に重きを置いて評価するかの違いでしかない。その意味で言えば、彼女の言い方も芝居やネタがかっていたとはいえ、シンプルに笑えるものが好きという感性に従うという点でブレはなかった。まあ、それで十分じゃないか。

思えば放送中、上沼の発言を受けて、今田が「笑わないよー」と暫定ボックスだか控室だかに対して声を掛ける場面があった。見取り図のコメントが始まりだとすれば、これは予兆だったのかもしれない。

 

ただまあ、芸人たちが、今日は自分たちが主役になるんだ、と息巻いてやってきた決勝の舞台で、審査員の方が注目を浴びそうな展開は、望ましいものじゃないだろう。それもまた理解できる。また、審査にまったく不満を持つな、というのも難しい。だからといって、あの行為は明らかに「マズい」こともまた確かである。だからどう反応すべきかが難しく、どの部分にまず言及するかが、なんだかリトマス試験紙みたいになっていそうで触れるのも正直怖い。

しかし、M-1グランプリ2018について書くならば、まったく触れるのも不自然なので、少しだけ書いてみた。

 

いずれにせよ、面白いネタが見られて笑えれば、私はそれで満足である。

冬に行われる数々のネタ見せ番組が、ぬくぬくと家で楽しめるものたらんことを。

それだけが願いである。

 

*1:てっきりラストイヤーだと思っていたが、2006年結成らしく、まだ出場権はあるようだ。訂正。

*2:ギャロップかまいたちは2004年結成なので、おそらく来年も出場権がある。ただし、ギャロップはラストイヤーと番組中で言っていた気がする。訂正。