ヤンキーになりたかった

食う寝る遊ぶエビデイ

センター試験でコケたのに華麗に進学キメた佐島の話

相も変わらず寒くてしょうがないが、この土日、東京は雨や雪の心配がないらしい。北日本は少しマズイとかなんとか。

特に予定があるわけでもないのに天候を気にするのは、この土日がセンター試験だからである。

 

センター試験。もはや懐かしい響きだ。

すでに初日の試験を終えた受験生たちに私から送ることのできるアドバイスはない。とはいえ、得意げに自分語りをするのも芸がない。

だから今回は、私の同級生・佐島(仮名)のエピソードを書こうと思う。例のごとく本人に許可は取っていないが、まあどうせ本人も忘れていよう。

 

さて、センター試験は、はっきり言って難しい試験じゃない。

目指す大学が難関校と名指されるものになっていくにつれ、よりこの試験は「いかに落とさないか」が問われる試験になっていく。

 

私は、地方のいわゆる進学校に通っていた。

それに、友人は理系に進んだものが多かった。

だから多くは国公立志望であり、まあ簡単に点をとって、さて二次試験は第一志望の国公立に出願するかな、とかそんなことを抜かす予定でいた。

 

しかし、予定はあくまで予定である。

一日目から少し雲行きは怪しかった。

国語とくに古文が難しく、試験終了後の会場は阿鼻叫喚だった。

周囲の見知らぬ受験生は「意味わからんくない? 全部3にしたんだけどw」「ウケるw」とか言っていたし、同級生の一人は「は? わけわかんないんだけど? は?」と動揺しすぎて私にキレてきた。いや、知らんし。

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とはいえ一日目終了時点で、そこまで悲観的な空気はなかった。

先述の通り私の周囲には理科系が多く、また初日の科目は文科系科目がメインであり、「ゆーて理系なら他のやつらもできてないっしょ」という謎の言い訳が出来たから。

一つは、自己採点をしていなかったことで、被害状況がまだ具体的には認識されていなかったから。エトセトラ。

 

私たちは元気に別れ、翌朝も元気に挨拶を交わした。

そんな理科系科目メインの二日目。

簡単なはず、と見くびっていた数学1Aが激烈に難化した

 

ちょうど数1A終了後が昼食時間だったのだが、もう佐島も含めみんな目の焦点があっていない。

「俺、志望校決めたわ。駿台」とか、面白くもないギャグを真顔で言ってくる。

河合と代ゼミで花占いを始めるやつまでいて、お通夜みたいな空気だった。

 

昼食後の試験は数学2Bと化学、物理または地学だった。数学2Bはやや易化したが、化学と物理は見事に難化していた。

理系生の多くは化学と物理を選択していたからこぞって散っていった。見事な散りっぷりで塵となっていった。

佐島もそうだった。

 

試験会場からの帰路の電車内は、昼休憩にも増して暗く、お通夜を通り越して地獄だった。

私は不真面目な受験生だったから、もう試験のことなど忘れて西尾維新を読みながら電車に揺られていたのだが、何やら横で落ち着きがない者があった。

佐島である。

 

どうしよう、どうしようと佐島は青ざめるばかりで、自身が青ざめたことでさらに青ざめるような、そんなどうしようもない状態だった。

「終わったことなのだからどうしようもあるまい」と言うと、

「どうしよう」というのだから仕方がなかった。

みなが最寄り駅だからと降りていき、私と佐島だけになった。

 

佐島は意を決したように、「今から、自己採点する!」と宣言した。

自己採点――公開された解答を元に、自分が何点取れているか採点する行為。

それは、現実を突きつけられる非情な儀式だ。

「待て、佐島」と私は言った。

「いや、いいんだ。僕はやるよ」

「しかし――!」

「このままじゃ、気になって気になって仕方がないんだ」

「そんなことをしたら――」

「だって、もう終わったことだから。今から点数が変わるわけじゃないし」

むむむ。これは一本取られたぞ……とか言っている場合じゃなくて……。

 

白状するが、私はこのとき既に、佐島の点数が悪いことは確信していた

だって、帰路で彼の口をついて出るのは、失敗しただのコケただの、試験に対するネガティブな感想ばかりだったし、顔の青ざめ方がハンパじゃなかったし、何より佐島にはなかなか阿呆なところがあった。

打算的な私はすぐに、どう慰めるかについて思考を巡らせたが、私の貧弱な脳みそでは、適切な解答を導き出せなかった。

 

「いいのか?」と私は訊ねた。

「うん」佐島が、まだ何もしてねえくせにやりきった感たっぷりに言いやがった。

「もし点数が悪かったとして、俺はお前を慰められる自信がない」

「うん」

「でも、やるのか?」

「うん。それに、点数が悪くても、慰めてくれなくて構わない」

そこまで言うのなら、と私は採点を促した。覚悟を決めた男にできることは、それぐらいのことだろうと思ったのだ。

かくして佐島は自己採点を開始した。

数分後、そこには、さらに顔を青ざめさせて「どうしよう!」と言ってくる佐島の姿があった。

 

「ヤバい……ヤバい……」と、佐島はそればかりを口にする。

しかし、私には慰めるわけにはいかない。

それが数分前の男・佐島との約束だからである。

「慰めて!」

男・佐島との約束だからである。

「うわあ、どうしよう! 物理48点!  ねえ、ねえ???」

約束……とは……

 

そうこうしているうちに電車は佐島の最寄り駅に着き、彼は電車を降りていった。

巨漢であるはずの彼の背中が、その日はとても小さく見えた。

彼はこのまま死ぬんじゃないか、私はそう思えてならなかった。もしかしたら彼は、我が県の誇るあの海に向かって身を投げてしまうのではないか、と。

 

翌日、センターリサーチ*1を出すために、私たちは登校することになっていた。

自己採点を経て被害状況が確認され、受験生たちはみな動揺していた。

国語や理数系科目の難化を嘆く声も多数聞かれた。

「どこに出しゃいいんだよ……」

「国語80点……」*2

「数1A40点……」

進学校とはいったい……。

 

そんな中で、昨日はあんなにも死にそうな顔をして別れた佐島が、ケロッとした顔をしていた。

いったい何があったのだろう? それとも、無の境地的なアレだろうか? とか思いながら、私は彼に話しかけた。

「昨日あれからどうだった?」

すると彼は、顔色ひとつ変えずこう答えた。

「あのあと、お母さんのカレー食べたら、元気が出た!」

あ、そうですか。

 

なお後日譚だが、私たちの多くがことごとくスベり倒して浪人を決めていく中、私たちの周囲では佐島だけが国公立大に合格し、現役進学を決めた。

彼の得点を聞くにいったい何が起こったのかと思ったが、今となってはもう当時のことは分からない。

確かなのは、彼が真横で自己採点しオロオロしていたことと、彼が母親のカレーを食べて元気を出したということだけだ。

 

毎月20日カレーの日である。

今年のセンター試験2日目は、偶然にも20日だ。

みんなでカレーを食べよう。それがいい。きっといい。

 

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*1:全国の受験生が自己採点結果をもとに志望校を書いて予備校に提出する。予備校はそれをもとに各国公立大のセンター試験得点のボーダーラインを算出し、合格可能性判定と共に返却する。

*2:国語は200点満点である。

自己啓発書でも読んだほうがいいのか?

半期に一度、上司との面談がある。

前回の面談で、「今後、どんな風になりたい? 来年とか、自分がどんなビジネスをやっていたいか、どんなことに取り組みたいか、どうなっていたいか、想像してみて」と、Imagineを歌うジョン・レノンよろしく想像を促された。

正直、「好きな人のかれぴっぴになりたい」という回答が真っ先に思い浮かんだが、そういうことが期待されているのじゃないとさすがに分かっているので、「ちょっと思いつかないですね、すみません」と返した。

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上記のエピソードが雄弁に物語っているように、私にはあまりビジネスだとかそういうものへの熱意がない。働き始めてもう数年が経ち、もう「いい年」になっているにもかかわらず、だ。

「仕事・ビジネス」というカテゴリーを設定しているが、いつも本当にくだらないことばかりを書いている。カラオケの話とか。正直これを読んだところで、キャリア形成やスキルアップには何の役にも立たないだろう。書く方にしたって、そうだ。

 

そもそも私はビジネスという言葉が嫌いだ。

あまりにもその意味がころころ変わるからだ。

しかし、このふわふわした言葉を皆よく使う。

 

ビジネスにつながる、と言うとき、

・1つの案件として受注できるというレベルなのか、

・部署を新設して取り組むべき事業というレベルなのか、

・1つの案件を足がかりに「得意先」になってもらえそうというレベルなのか、

それがいまいちよくわからない。

 

そんなものは文脈依存なんだからよく話を聞いていれば分かるだろ、と言われて終わることなのかもしれない。しかし、まあぶっちゃけ、面倒くさい。

だから私の中で、「ビジネス」という言葉は、なんか使っておくと雰囲気が出るぐらいの立ち位置になっている。その意味ではブロックチェーンとかAIとかと近い。

実際、「ビジネス」と口にするとき、ちょっとだけ気持ちが良い。

なんか、いっぱしの資本家になった気分がする。

でも、やっぱりあまり好きじゃない。

ラリー・ペイジジェフ・ベゾスのことはよく分からないし、今日もECサイトでポチポチするのが楽しい。

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好きじゃない言葉なのは確かだけれど、私がビジネスへの熱意に欠ける理由はそれだけではない。

それには私の受験のときのアレコレとそれに付随して生じてしまい、今も巣食っている苦手意識が関係していると睨んでいる。しかし、その話は長くなるのでここでは書かない。

これもまたきっと「書きたい日記」の領分だ。

 

私は「ビジネス」ってやつがあまり好きじゃないが、世のトレンドはそうじゃないらしい。

一つのSNSというサンプルとして扱うには偏った集団を観測した限りでは、起業して「デカいことするぜ!」みたいな人が溢れている。

何かにつけて「学びがあった!」とか「刺激があった!」とか大仰な言葉を使う様は、あまり私の趣味には合わないな、と思うが、そういう嬉しそうな反応を示すやつが人として付き合うにあたって好印象を受けやすいのはまあ間違いなかろう。

 

ZOZOの前澤友作氏が、「お年玉」として100人に対して100万円ずつ現金で渡す、という総額1億円プレゼントを行う旨のツイートをした。

応募方法は、前澤氏のツイッターアカウントをフォローし、キャンペーン告知のツイートをリツイートするだけというよくあるもの。

しかし、そのプレゼントの大きさや彼の知名度も相まり、リツイート数は世界記録を更新するに至ったという。

 

これに対し、「さすが! 面白い!」と反応したのも、上述の「学びがある!」と言うタイプの人たちだった。

中には――どれぐらいの割合で詐欺があるのか想像もしたくないが――、「前澤さんに乗っかることにしました! ぼくもXX名の方にYY円を現金でプレゼントします!」というツイートがあった。

まあ、前澤氏自体に罪はないだろうが、そういったツイートが溢れかえっている様はなかなかに地獄絵図だった。

 

そんな中に、金ではなく本をプレゼントするというものがあった。

その企画は「めざましテレビ」にも取り上げられた。そのシーンを抜き出した動画によると、企画者は24歳の男性らしい。

自身が昨年読んだ中でオススメの本をプレゼントするとのこと。書籍をズラッと並べた画像が誇らしげに掲げられていた。

 

ラインナップを見ると、

君たちはどう生きるか』(作画・羽賀翔一、原作・吉野源三郎

『バカと付き合うな』(堀江貴文西野亮廣

『日本再興戦略』(落合陽一)

など、よく書店に平積みされていた、いわゆる「ベストセラー」ばかりだった。

 

彼の並べた書籍は、しかし、ありきたりであるが故に、トレンドをしっかり押さえたものになっていた。つまり、こういうのを読み、そしてこういうのを紹介すればいいんだな、という視点で見ればそれこそ「学びがある」ような。

私も過去に、ゴールデンウィークにオススメ! と称して書籍を何冊か紹介したことがある。そこでは、小説、漫画、エッセイを並べていた。

しかし最近、さまざまなブログを見て思うのは、みんな紹介するのも結局、ビジネス書またはライフハック自己啓発本なんだな、ということだ。

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私も、そういった類の本を読んだほうが良いのだろうか?

タイトルや出版社で敬遠していた、それらの本を。

私の中の、ミーハーな部分が囃し立てる。

 

それらを読めば、私も少しはビジネスに興味が湧くだろうか。

あるいは、何か社会を変革したいという熱意が湧くだろうか。

研修の休憩時間に、デール・カーネギーの本を読んでいた彼――研修は真面目に受けましょう、みなさん弛んでいます! と、朝礼でリーダーシップを発揮して同期全員に発破をかけた直後に爆睡していた彼のように?

 

前澤氏の1億円バラマキキャンペーンは、対象者にDMが送られた、という。

100万円を使って何がしたい、というビジョンが明確な人が対象となったらしいが、これはまあ、大方の予想通りだろう。その意味では、前澤氏はかなり明確なヒントを出していたことになる。

投資と呼ぶには100万円はみみっちい気もするけれど、じゃあ10人に1000万円と言われても当選する気がしないし、もっとバラマキに徹して1000人に10万円と言われても、いまいちテンションが上がらない。それ以外だと見栄えが悪い。そう考えると、なるほどたしかに100万円を100人に、というのはちょうどよい。

 

私もカーネギーの本を読めば、その「ちょうどよい」感覚を身につけられるのだろうか。

前澤氏に興味を持ってもらえるようなビジョンを描ける人間になれるだろうか。

「好きな人のすきぴになりたい」とかいう、おちゃらけたものじゃないような。

 

自分の本棚を眺め、そこに自己啓発書やビジネス書が並んでいるさまを想像してみる。

本棚から、「アツい学び」が零れ落ちそうになる瞬間を夢見てみる。

やっぱりそれは、非現実的に思えてならない。今までに縁がなさすぎたのだ。

 

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』、『the four GAFA』、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』……。

よく車内広告とか書店で平積みされているのとかで見かけるタイトルを思い浮かべながら歩いてみる。

何かが音と立てて足にぶつかった。捨てられないままのAmazonの空ダンボールだった。

ふと部屋を見回すと、もらったものの手をつけていないお菓子や着けなくなったネクタイ、空になったペットボトルが転がっていた。

私がまっさきに読むべきは、コンマリ本なのかもしれない*1

 

人生がときめく片づけの魔法

人生がときめく片づけの魔法

 
毎日がときめく片づけの魔法

毎日がときめく片づけの魔法

 
人生がときめく魔法の片づけノート

人生がときめく魔法の片づけノート

 

 

画像は全て、unslashから 

 

*1:だがコンマリ本の哲学ではきっと、本棚こそ真っ先に「断捨離」されるべき対象だろうから、悩ましい。

このアニメが(個人的に)見たい2018!

12/28。金曜日。

仕事納めだったという方も多いのではないだろうか。

私はちょうど有給を取ったので仕事納めは27日だった。同様に、連休を伸ばそうと何らか足掻いた方もいらっしゃるかもしれない。まあいずれにせよ年末年始の休暇に入ったばかりといった具合であろう。

 

今年は日と曜日の噛みあわせが良く、大型連休となっている人も多いと聞く。

しかし、Amazon Primeに入ったことを書いた記事でも紹介したが、NETFLIXの広告にあるように「実家は意外とやることない」のである。それでも多くの人は実家に帰ることになるんだろうし、私もそうなる予定である。面倒くさいな、マジで。

 

「実家は意外とやることない」はずなのに、なんだか親戚の家への移動だとか、諸々で案外と時間が取れないぞ、なんて未来は何となく見える。

それこそ、誰かのフォローばかりをしていたら定時がやってきて自分の仕事は何一つできていないことに気づいた平日みたいに。

だから「どうせ暇だろ」なんて書くのは自分の首を絞めることにもなりそうだが、あえてやってみたいのである。「このアニメが見たい」ってやつを。

 

「このミステリがすごい」

「このマンガがすごい」

「すごい」は耳馴染みがあるけれど「見たい」なのはこれ如何に?

問いかけ形式にしてみたが、別に何か壮大なカラクリがあるわけじゃない。

凄い、と言うとハードル上がりそうだから、この冬はこのアニメが見たいなあって思っているんだなあ、って書きたいな、というだけである。

上に引いた記事と同様に、現在つまり2018/12/29時点でAmazon Prime上で、Prime特典として見られるアニメ作品を対象とする。

 

 

 ■あそびあそばせ(2018, 全12話)

 2018年夏クールアニメにて、顔芸で話題をかっさらっていたらしい一作。

よくある日常系アニメなんだろ(ハナボジー

って感じで見送っていたのだが、せっかくあるなら見たい一作。

大学時代の知り合いとリプライでやり取りする際によく使われる、あのワンシーンが見たい!

――なんて呆れるぐらいに不純な動機なんだ………

 

たまこラブストーリー(2014, 映画)

 この作品のTVシリーズである『たまこマーケット』は見ていたのだが、結局未視聴のままになってしまっていた劇場版。

こちらの評判はすこぶる良いし、『聲の形』も『リズと青い鳥』も面白く観たのだが、いかんせん上記TVシリーズの印象が強すぎて……

モチマッズイなんかいらんかったんや……

そういえば、EDの「ねぐせ」はやたら好きだったな。

 

ゆるキャン△(2018, 全12話)

ふじさんとカレーめん

ふじさんとカレーめん

 

今年の初め、みなさんゆるキャンって言ってましたよね。

イロハを知らないオタクが冬のキャンプを試みて凍死するんじゃないか、とか言われてましたよね。

ゆるキャンのオタクのみなさん、生きていますか?

私は、その波に乗り遅れたので、このアニメを観ておきたいです。同僚と登山することもあるので。このあいだ、クソなめた格好で登山して、死ぬかと思いました。これを機に勉強しようと思います。

ところでゆるキャン△ってなんですか? 本田△みたいなもんですか? というか、これ、もう通じないやつですか?

 

 

 

こうしてアニメを3作リストアップして、日常系、観ないんだなあ、と気づいた。

そして、Amazon Primeにアニメが意外と少ないように思えてきた。関連作品がどの作品を見てもたいてい同じだし。

やっぱりNETFLIXの奴隷になるしかないんだろうか。

 

そして、日常系って、日々に疲れているときに息抜きで観るのが至高なんであって、年末年始にガッツリ観るには向いてないよな、なんて。

「シャロちゃ~ん」「はゎゎ~~~♡」「ふみゅ~~~ん>△<」

頭おかしなるわ。

 

結局、何もせず、時々、昔見たアニメを見直したりしていそうだ。

このあいだの三連休に『Steins;Gate』を完走したように。

宇宙よりも遠い場所』(よりもい)とか、『SHIROBAKO』とか観ていそう。なんなら、「よりもい」ならさっき1話見直したし、なんなら既に軽く泣いた。もはやパブロフの犬

 

ちなみに過去記事との関連で言うと、

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』が2シーズンとも配信対象になっている。

一色いろはを愛でるには「続」を観るといろいろ捗る。

 

一部有料化の騒動もあったが、『SSSS.GRIDMAN』もPrime特典で観られる。

宝多六花さんをすこれ。

覚・醒

覚・醒

 

 

ダーリン・イン・ザ・フランキス 』も配信対象だ。

イチゴのポンコツぶりや、ヒロとゼロツーの、聞いているこちらが恥ずかしくなるような愛のぶつけ合いを堪能できる。

上村くんの良質なポエムを聴けるのは……いや、上村くん、いつもポエム読んでたわ。

独りとヒトリ

独りとヒトリ

 

 

まあ、そんな感じ。

現場からは以上です。

時期的に今年最後の更新になりそうだけど、こんなゆるっと終わってよいのかしら……

 

 

カラオケという名の地獄に音楽は絶えない

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世間はクリスマスイブだ、イブイブだなどと騒いでいる。年末である。

どうもこの連休は寒波がきているらしく、さらに仕事納めの頃にはもっと強い寒波が来るそうである。

暖冬とは何だったのか。勘弁してほしい。

 

さて、年末である。年の瀬である。

恋人がいる人にとってはクリスマスは一大イベントだろうが、そうでない人たちにとっても、多くの人にとって避けられないイベントが存在する。

忘年会である。

 

忘年会といえば余興――若手社員が何かやらされるか、良い年した管理職がノリノリで何かやるのを見せられるか。まあ、どっちにしろ気分は悪いもので。

マスコミが騒ぐところによると、今年のトレンドはDA PUMPの「U.S.A.」らしい。

まあ、今年流行った曲だし、DA PUMPの名は懐かしさがあるし、これほど忘年会に向いている曲もない。何かしないといけないなら、悪くないチョイスだと思う。

 

と、ここまで書いてきた内容からの予想した展開とは異なるだろうが、私のいる部では、幸いにして余興の文化はない。

だからこういったダンスだとか歌には無縁……のはずだった。

事件が起こったのは、年末ではないがとある四半期期末も近づいたとある夜のことだった。

 

その日は、確かに四半期末は近づいていてやや慌ただしさはあったけれど、それでもなんてことのない金曜日だった。

残業していると、あまり話したことのない先輩が「いまから飲むんだけど、来ない?」と話しかけてきた。

「佐藤くんが、キミがドラマをめっちゃ見ているって言ってたからさ。語ろうよ」

 

 

私は別に「ドラマをめっちゃ見」るタイプではなく、たまたまそのクール、面白く見ていた作品があると話したことがあるだけで、それを佐藤という同期*1が誇張して伝えていたのだった。

なので、何か「語」れるとも思わなかったが、その「語ろうよ」と投げかける瞳の何も疑っていない感じに引くに引けなくなり、「はい」と言ってしまった。

 

私たちはさっそく居酒屋へと移動した。

「いやあ、あのドラマいいよねー」と、早くも先輩はジャブをしかけてきた。

「いいですよねー」と返すと「うん」と先輩は満足げに言い、話は終わった。

 

その後、何人かが合流し、以降ドラマの話をすることはなかった。それなりの人数の飲み会になり、その中で二人で話すのも、といった具合になったからだった。

あー、もしかして、あの雑な返しから幻滅させてしまっただろうか。だとしたらば、89%ぐらい佐藤のせいだけど、それはそれで申し訳ないな、とか考えていると、終わり際、くだんの先輩が満面の笑みでこう言ってきた。

「いやー、今日は語れてよかったね」

 

……は? え? そんなので良かったの?

と、まあ、正直言うとかなり拍子抜けしてしまった。ああ、なんだ。普段私がクソオタクをこじらせているせいでこんな長文レビューを書いているだけで、クソオタクをこじらせた人たちと学生時代につるんでいたせいで居酒屋の閉店までずっとアニメや映画の話をしていただけで、本来「語る」なんてのはこのぐらいでいいんだ。

そんなことに気づけた夜だった。

 

さて、ここで終われば、なんてことはない飲み会の話である。

しかし、困ったことがあった。私たちの多くは大いに酔っていたことである。それはもうすこぶる酔っていた。

先輩はこんなことを言いだした。「ねえ、主題歌デュエットしようよ」

 

……は?

この発言を受け、なんだか「カラオケ行きましょう! カラオケ~!」みたいな空気になってしまった。こうなるともう歯止めは聞かない。開戦前の空気である。

「代表堂々退場す」よろしく逃避を試みるが、飲み会の参加者も多く自然と目を光らせる者も多い。すぐに捕まり、首根っこを摘まれ、カラオケボックスに連れ込まれてしまった。

 

早速入れられるドラマ主題歌。渡されるマイク。

ちなみに、この主題歌、全然デュエット曲なんかじゃない。

どうすればいいんだ、と思っていたらば、まず先輩が歌いだした。そしてサビ終わったら「次はキミだよ!」みたいなアイコンタクトを送ってくる。

は? なに? 「打上花火」のテンションなわけ? 俺ら米津玄師とDAOKOなわけ? もう全国の米津玄師とDAOKOに謝るしかない。

……先輩のあとを受けて歌い始めたが、なんか普通にムズかった。

 

しかしここでも先輩は満足げだった。

まあ、満足げならいいですよ、なんてな気分。

その後は、90年代からゼロ年代の名曲が並び、ときどき星野源「恋」やRADWIMPS前前前世」など、妙に当時既に古いと思えるチョイスの曲が挟まれる構成。

会社のカラオケに行くのは初めてだったが、「ああ、これが会社のカラオケなんだなあ」みたいな感じだった。

酔っ払いきった面々が熱唱する中、少し疲れた私はトイレへと向かい用を足した。

戻ってくると、上坂すみれの「POP TEAM EPIC」が熱唱されていた。

 

……は?

いや、わけがわからない。さっきまでの雰囲気はどこに行った? 

間奏に入り、佐藤は「いやー、ほんとクソアニメだわー」と得意顔で言った。まあ、ここから分かると思うが、佐藤はクソオタクであった。

いや、そんなことはどうでもいい。『ポプテピピック』である。え、なんで?

ちなみにこの時点で、最初は「1時間ぐらい」とか言っていたカラオケももう酔っぱらいの集団なのでそんなことは当然なくて、終電ないし朝までいようか、なんて感じになってしまっていた。え? マジで? これ、朝までやるの?

 

私が驚愕しているうちに、「POP TEAM EPIC」は終わった。

安堵していると、すぐにどうぶつビスケッツ×PPP「ようこそジャパリパークへ」が流れ始めた

「Welcome to ようこそジャパリパーク」じゃねえんだよ。こちとら今すぐにでもこの状況から「素敵な旅立ち」決めてえんだよ。もう「ドッタンバッタン大騒ぎ」はいらねえんだよ。

 

かくして私が混乱していると、先輩がデンモクを持った。

ああ、先輩なら、この状況をaikoとかJUDY AND MARYとかで立て直してくれるかもしれない!

そう期待していたのだが、先輩は先述のドラマ主題歌を入れた(2回目)。

 

かくしてデュエット2回目であった。

2回目ともなると、なんだか勝手が分かってくる。

できることなら分かりたくない勝手だったが仕方ない。

さて、「ようこそジャパリパークへ」が終わったあたりで、アニソンを熱唱していた1人が寝始めた。

もう夜も更けてきている。酒も飲んでいる。眠いのが道理だ。

 

おもむろにかかる、DRAGON ASH「Grateful Days」。

「これ入れたの誰?」「知らない」

なんでだよ。

そしておもむろに向けられるマイク。 

なんでだよ。

 

しかし困ったことに、この曲は知っていたので歌えてしまった。

俺は東京生まれHIPHOP育ち 悪そうな奴は大体友達

悪そうな奴と大体同じ裏道歩き見てきたこの街

日本語ヒップホップ史に残る、そしてそれ故バカにされがちなパンチラインである。まあ、実際面白いから仕方ない、

「うお~、ラップできるじゃん!」

なんでだよ。

 

と、まあ、「カオス」な状態であった。

ちなみに、先述のドラマ主題歌は3回目も入れられた。

「息合ってきたね」3回目やからな。

 

もはや疲労困憊でしかないのだが、それは他の面々も同じだったようで、次々と寝ていく参加者たち。しかし私はどうにも、元々アルコールに弱いから飲酒量が少なかったのと、いろいろ起こりすぎて脳が変に覚醒状態にあったせいで、まったく眠気がきていなかった。

そして、とはいえもうほかの人は寝ているのだから、静かに眠らせてあげればよいのに、眠らず数少ない生き残りとなってしまった佐藤くんはマイクを離さなくなってしまった。

ここから、恐怖の佐藤リサイタルが幕を開ける。

 

まず佐藤、水を得た魚のように、アニソンを入れまくる。

「俺、これでも会社のカラオケだから気を使ってたんだぜ」みたいな顔をして、なんだかハニカミながらデンモクを触る。

ああ、なんていい笑顔なんだ……。「POP TEAM EPIC」とか「ようこそジャパリパークへ」あんなに楽しそうに歌ってたくせに。

「お前も、この曲わかるだろ?w」

いっちょんわからん。

 

次々と入れられていくアニソン。

何故だ……何故眠気が来ない。これならば、寝たほうがマシではないか……

そう思いながらぼけーっとモニターを眺めていたら、足になにか熱を持った物体があたってきた。

うわ! と足を跳ね上げゆっくりとその正体を確認した。

寝ているうちにソファから転げ落ち、なおも懸命に寝返りを打とうとする先輩だった。

 

しかし、佐藤はそんな状況も目もくれず、気持ちよさそうにアニソンを歌った。

アイドルマスターのOP「READY!」を歌えば、こちとら貴様を殴る準備万端やぞ、という気分になった。

機動戦士ガンダム00のOP「儚くも永久のカナシ」を歌えば、これが人に夢と書いて儚いであるように夢だったら良いのにと願った。

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の主題歌「愛・覚えていますか」を歌えば、そもそも1時間だけって言っていたことを覚えていますか? と問いかけたくなった。

 

佐藤は、続いて創聖のアクエリオンを歌った。

一万年と二千年前から愛してる

八千年過ぎた頃からもっと恋しくなった

一万年と二千年経っても愛してる

君を知ったその日から 僕の地獄に音楽は絶えない

いや、どう考えても地獄は今この瞬間だよ。音楽も絶えてくれねえよ。自己紹介かよ。

 

佐藤は続いて、交響詩エウレカセブンのOPであるFLOWの「Days」を入れた。

イントロで「ラップあるぞ、ラップ!」と言い、2番Bメロが終わったところで「ラップ!」と言いながらマイクを渡して来た。うるさい黙れ。

ちなみに、ラップは、やった。

 

――朝を迎え、我々は寝ている人々を起こした。

のそのそと起き上がる参加者たち。最悪の土曜日の始まり方である。

そして私たちは、それぞれ始発電車に乗り込んで帰宅の途についた。

 

この話の教訓は、酔った後のカラオケはロクなことにならない、ということだ。

忘年会といって、羽目を外しすぎることのないよう。

また、もう既に忘年会なんざ終わったよ、という人たちは、新年会においてもこのような悲劇を繰り返さぬよう。どうかご注意願いたい。

 

とはいえ、私もこのときの出来事を、そう恨んでいるわけではない。

このときの経験もって、書こうと思え、実際に完成した記事もある。長々しい感想を語りたくば、ブログでやれ、と。

だから、まったくの無意味ではなかったのだし。

 

さて、そんな佐藤くんだが、彼は今年、退職してしまった。

その後の行方は杳として知れない。

「ヤンキーになりたかった」は、佐藤くんのご活躍とご多幸を祈っている。

 

*1:無論、仮名である。

気づいたらAmazon Prime会員になっていたので、せっかくだからPrimeで見れる邦画を書く

Amazon Prime会員になると、様々な恩恵を受けられることは風のうわさで聞いていた。

なんでも、送料とか時間指定便が無料になるとか。

そして、Prime Videoが使えるようになるとか。

 

私には元々、Amazonで買い物をする習慣がなかった。

買いたいものもなかったし*1、宅配便が来るのもなんだか苦手で*2、利用する動機が薄かった。

しかし、通勤用のリュックサックを安価に購入して以降、徐々に使う機会が増えた。そしてあるとき、たぶんタップ間違いをして、気づいたらPrime会員になってしまった。

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間違えたなら、無料体験期間中に解約すればいい。それでも、どうせ年額3,900円だし、と思ってそのままにしていた。

そのうち、お急ぎ便や時間指定便が便利だなと思うに至り、以前よりむしろAmazonを使うようになった。

ただしそんな始まり方だからか、存分にその恩恵は受けつつも、なんだか自分がPrime会員であるという意識は薄く、Prime Videoなど他の特典を使っては来なかった。

 

転機は先日の、M-1グランプリの記事を書いたことだった。

ツイッターのフォロワーさんが、Prime VideoでM-1の映像を見ている、とつぶやいていた。

それを受けて、記事を書くにあたって、過去の映像も少し参照しようかと思い、いよいよPrime Videoのアプリをダンロードしたのだった。

 

NETFLIXAmazon Prime Video。

始めると湯水のように時間を使い、無限に余暇の時間が溶けていくと思っていた。

実際、始めたばかりの頃は、いろいろ見れるじゃないか! と、眺めていた。

しかし、それがかえって仇となった。

コンテンツが多すぎて、どうすればいいか途方に暮れてしまうのだ。

 

見たことがない作品を見ようにも、そもそも現在放映中の録画すら消化しきれない日々である。

これ以上増やすのか、と思うとどうにも気後れがして、再生ボタンを押せない。

するともう、いつ見るのをやめても問題ないしな、と言い訳できる、既に見たことがあるものしか再生できなくて、なんだか虚しい。

 

同じ作品をレンタルし続けてTSUTAYAやGEOに金を吸われるのも阿呆らしいし、むしろこれこそが正しい使い方のような気もする。しかし、新しく使い始めたはずなのに、新しい出会いを避けてしまっている、という矛盾した感覚もある。

最近は、内容をほとんど忘れてしまっている『STEINS;GATE』をテキトーに見ている。

ああ、俺だ。機関から送り込まれたエージェントの色仕掛けを受けているッ! ……ああ、分かっている……作戦実行に抜かりはない……エル・プサイ・コングルゥ……

始まりと終わりのプロローグ
 

 

あとはちょっと憂うつな感じがわりと続いていて、録りためた番組も再生できていない。これも、もしかしたら再生ボタン押せない問題に関連しているのかもしれない。

この話を知人にしたら、「それは鬱だよ」って即答された。まじかよ。

まあこれは「退職エントリー書きたい日記」の領分だ。今触れても仕方ない。

 

さて、私は洋画の知識が少ないわけだが、私でも知っているような、古典と呼ばれるような著名な作品は、版権の問題だろうか。あまり配信対象になっていない。

まあ、これは邦画も同様なのだが。

洋画も邦画も、タイトルは聞いたことがある、という近年の作品ばかりになっている。

 

そのほかの作品をみようにも、私の知識に基づき検索した結果からレコメンドされるばかりなので、なんとなく知っている作品か、最近追加されたばかりの作品ばかりが目につく。

実際、最近追加されたらしい『ミックス』のポスターの、新垣結衣瑛太の主張が少々うるさい。

ミックス。

ミックス。

 

 

もう年の瀬も近い。ぼんやりしていると、そのあいだに年が明けそうな具合である。

年末年始をどう過ごすことになるのかは人によるだろう。そりゃそうだ。

サービス業が増えている昨今、多くの方は冬休みですね! なんて言うと刺されそうで怖いけれど、まあ多くの方が冬休みを迎えると想定して話を進める。

 

NETFLIXの広告が話題になっていたが、これはまさしく真理である。

であるからして、こういう時期には「暇つぶしにおすすめ!」なんてものを紹介したり、されたりしておくと意外とはかどる*3

 

上述の内容からして不安感たっぷりかもしれないが、このままでは「暇なようで暇なじゃないようで、う~ん、どうにも憂鬱で、しんどいにゃ~」と書いただけの冗漫な記事となってしまうので、私の「おすすめ」を書いて締めたいと思う。

まあ、以前のこの記事と似たようなものだ。

 

ちなみに今回の対象は、2018/12/22時点で、Amazon Prime上で無料(基本料のみ)で見られる実写邦画とする。

書籍やアニメは他でもやるかもしれないが、今回はこれに絞る。洋画を含めないのは、上述の内容ゆえである。

こうしておけば、なんだか12月の記事っぽくなっていい感じオチがつく。

 

■葛城事件(2016)

葛城事件

葛城事件

 

 劇作家・演出家でもある赤堀雅秋が、自身の主宰する劇団で上演した作品を映画化したもの。

家族に対して高圧的に振る舞う男と、逆らえない妻。その子供の二人兄弟。家族は元よりバラバラで、その後の展開も胸がすくようなものじゃない。ひたすらに不快。特につらいのは、誰も悪くないというか、悪いんだけど、じゃあどこが悪かったという契機がなく、ただ「悪い」が積み重なっていて、どうしようもない、みたいな。だからカタルシスなんて無い。

けれど、笑えるのである。ブラックコメディ、トラジコメディなのである。「あまりにも」なシーンだとか、本人はたぶん必死だし悪気もないんだけどだからこそ異常みたいなシーンとか。まあ、見たらたぶん分かる。

 

舟を編む(2013)

舟を編む

舟を編む

 

『葛城事件』とは打って変わって分かりやすく楽しめるエンタメである。三浦しをんの同名の小説が原作なのだが、そのエッセンスを無理なくまとめ上げており、ストーリーにもメリハリがあって良い。

何より、松田龍平の、コミュニケーションができなさそう見せながら不快感を覚えさせないバランス感覚は見事だし、周りを巻き込み辞書作りという仕事を前進させていく姿もよくハマっている。だから私たちも、辞書作りに感情移入でき、映画を楽しめる。大仕事である。

あと、この映画を見ると宮崎あおいと同棲したくなる*4

 

バクマン。(2015)

バクマン。

バクマン。

 

わりと有名なジャンプ漫画の実写化。実写化作品への批判は多いが、これは比較的うまくいったんじゃないかと思う。

大根仁の魅力は、頭を空っぽにして見れることだ。そのぶんわ描写は全体的に、イメージ的で切っちゃになる。特にそれが露骨なのは女性の描き方なのだが、本作は原作にいた小豆以外の女性キャラを描かないという描き方をしている。これに賛否はあるだろうが、尺の都合もあるし、変に墓穴を掘らないし、大胆なる得策だったんじゃないかと個人的には考えている。

また、脇役のキャスティングも妙である。山田孝之の存在感は素晴らしいし、リリーフランキーはやはり上手い。サイコーの叔父がクドカンなのなんて、程よい胡散臭さで、ベリーグッドである。

 

 

記事も長くなってきたので、このくらいで。

この冬は『人のセックスを笑うな』あたりを見たいが、また有言不実行なんだろうな。あーあ。 

 

 

*1:書籍は実店舗で買いたかったし、それを除いてしまえば他にあまり欲しいものもなかった。

*2:インターホンの音、クソでけえし。

*3:その時間を使ってスキルアップ! なんて話もあるのだろうが、疲れるし、何かを集中してできる環境じゃないからこそ、「やることない」にゃ~ってなるのである。悲しい。

*4:いや、見なくても宮崎あおいとは同棲したいわ。阿呆か。

社畜クズ野郎は積読消化の夢を見ない

青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』を第一作とする「青春ブタ野郎」シリーズのアニメが放送中だが、これがなかなかに面白い。

この作品について、いろいろと「よくできている」ポイントを列挙するのは簡単なのだが、個人的にとても気になるのは、作品の舞台が藤沢近辺であることだ。

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私は昔、あの近辺に住んでいたことがある。

正直、観光地化した都市である秋葉原がいくらアニメに映ろうと特に何とも思わないのだが、藤沢では少し驚いてしまう。

青春ブタ野郎」シリーズの著者である鴨志田一が脚本を担当したアニメ『Just Because!』でも舞台は藤沢~大船といった湘南地方が使われていた。

これで驚かされるのが、あくまで彼らの生活の場として描かれる以上、湘南といっても江ノ島とかではなく普通に市街地や藤沢駅なのである。つまり先述の秋葉原とはわけが違う。

地方出身の私は、馴染みのある場所が映るたびに、ソワソワする。

 

藤沢駅前OPAのTULLY'S COFFEEや駅前のVELOCE等。

いろいろと「懐かしいなあ」などと感じてしまう場所は多いのだが、もっともソワソワするのは藤沢駅北口ビックカメラの7,8階に入っているジュンク堂藤沢店である。

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読書は私の数少ない趣味の一つだ。

だから、ジュンク堂には電車に乗って足繁く通った。あの店のことはよく憶えている。

赤本コーナーの近くには漫画の棚が数列並び、ラノベ棚もあることとか、その反対側に文芸書や文庫本コーナーがあることとか、そういうことを今でも思い出し、諳んじることができる。我ながらキモい。

 

当時から、本を読むペースに対して買うペースが勝りがちな悪癖はあった。

1冊読み終えて2冊買う、みたいな。我ながら阿呆なことをしているなあ、とか思っていた。

それから数年経った今の私の悪癖は、当時よりずっと進行している。

 

いや、おそらく10月、11月と仕事が忙しかったのが悪い。

ならばこそ、こんなエントリーを書くことになったのだし。まあ、反省なんざこれっぽちもしていないが。

「退職エントリーを書きたい日記」の「その2」の投稿はもう少し先になりそうだが、まあそれは主眼でないのでどうでもいい。

問題は、私にはどうも、忙しくなると浪費が増える傾向があるらしい、ということだ。

 

仕事が忙しいと残業が増える。そうでなくとも忙しい、または忙しい気分だと、なんだか人と会ったりとかそういうことが後回しになってしまう。

すると、忙しい原因となっている出来事で人と会っているのに、なんか誰とも会っていなくて社会から疎外されているような気分がしてきてしまう。

そして、浪費をする=金銭を払う=市場に接することで「社会とつながっている」感じをインスタントに得ようとしてしまう――と、まあ、多分こんなセオリーだと思われる。

 

とは言い条、先述の通り、私の趣味は多くなく、よって浪費の対象も絞られる。

服も買わない――実際には買わないといけないのだが、まあそれは別の機会で追々書こう――し、酒も飲まない、タバコも吸わない。「ないない」尽くしのゆとり世代の文化系クソオタクは、けっきょく書籍に行き着いてしまった*1

そして買っても読む余裕がないから、ずっと積読ばかりが溜まっていく。どうせなら金が貯まればいいのに*2

 

散々、忙しいと書いてきたが、最近はむしろ仕事がなくて困っている。

それでも閑散期なわけではなく、仕事はあるはずなのに手を出せるものがないので、心ばかりが忙しくてたまらない。

まあ、それでも、時間的には余裕が少しだけ出てきた。

昨日は津村記久子『この世にたやすい仕事はない』(新潮文庫)を読み終えた。面白かった。

だから今日は3冊新しい本を買った。いや、おかしいだろ。馬鹿かよ。

これでは、転職に向けてスキルを培うぜ! なんてのも夢のまた夢である。

この世にたやすい仕事はない (新潮文庫)

この世にたやすい仕事はない (新潮文庫)

 

 

いっそ昔みたいに、藤沢近辺まで出かけてみるのはどうだろうか。

可も不可もないインドカレー屋で尋常でない量のナンを「おかわり」として問答無用で追加される、または家系ラーメンの店でまぜそばと炙りチャーシュー丼で腹を満たし、腹ごなしにコーヒーを飲みながら本を読むのだ。

しかし、それをするにもちょっと距離がありすぎる。

 

上述のOPA2階のTULLY'S COFFEEで内定辞退の書面を書いたのも、「青春ブタ野郎」シリーズの登場人物みたいに自分が高校生だったのも、それぞれずいぶん過去のように思える。

だのに、同じことを繰り返すどころか悪化させていて、なんなんだろう、と思う。

ブタ野郎だね! なんて声も、テレビの画面からしか聞こえない。

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どうしたもんかねえ、と独り言ちたくなるけれど、

寝る前、布団に潜ってからの読書は存外に捗って、それはそれで困る。

アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』の冒頭に引かれた、モリス・ブランショの言葉を思い出す。

夜、熟睡しない人間は多かれ少なかれ罪を犯している。

彼らはなにをするのか。夜を現存させているのだ。

彼の言葉の主意には反するかもしれないが、私はきっと夜を現存させていれば、明日の朝が来ることを遅延させられると、どこかで願っているのだ。

この年齢の人間が持つにはあまりにもロマンチシズムがすぎる夢想である。

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

 

 

遠い過去や遠い国。

そんなものに思いを馳せながら、今日もまた布団に潜ってちょっとだけ本を読むのだろう。

今日は何を読もうか。考えているときが一番楽しい。

 

兎角、そんなわけで、積読が溜まる一方だ、というだけの、実にくだらないお話。

このペースでは、一向に、終わらない。

社畜クズ野郎は積読消化の夢を見ない。

 

 

 

*1:そういえば、Amazonサコッシュを名乗る黒色のショルダーバッグを買った。

*2:投資にならない使い方ばかりで使うから浪費なんだよ。だから貯まらねえんだよ。

M-1グランプリ2018感想

去る12/2(日)に開催・放映されたM-1グランプリ勝戦の感想を書こうと思う。

本当なら月曜日か火曜日あたりに書き上げて投稿したかったのだが、仕事の多忙を理由に怠けてしまった。

おかげでその間に、ある人たちの方ばかりが注目を浴びてしまい、どうやら優勝者よりそちらの名を聞く機会の方が多くなってしまった。前回にも増して上沼恵美子への不満をネット上で呟く視聴者が多かったけれど、ただ巻き込まれただけとはいえ結果的には出場者よりも彼女のほうが話題を集めてしまった。

まあこれについても、余裕があれば触れる。まずは兎角、「ネタ」である。

 

司会:今田耕司上戸彩

笑神籤引き手:吉田沙保里/阿部一二三/井上尚弥

審査員:上沼恵美子松本人志富澤たけし立川志らく塙宣之中川礼二オール巨人

 

■審査員紹介

あまりここで話すべきこともないのだが、今回は立川志らく塙宣之(ナイツ)が初の審査員に。

志らくは、師であり立川流の「家元」立川談志が1組に50点をつけるなどしたことを引き合いに出し、「普通の審査をしようと思っています」が「談志が降りてきています」とコメントした。これは、彼が談志から生前、「最も俺に似ている」と言われていたことや、今もリフォーム後の談志宅に住んでいることから考えた冗談の類だったのだろうが、その文脈を知らなければあまり面白くなく、また困ったことに、あまり知られているようなの事柄でもない。

この志らくの小スベりを塙が「内海桂子師匠が降りてきている」と引用し笑いに変えていたのは良かった。

 

■敗者復活戦結果発表

プラス・マイナスとミキの一騎打ちと相成ったわけだが、プラス・マイナスに陣内が話を振った際に、オール巨人の物真似をしなかったことに関して、「物真似せえ。何しとんねん。あいつ」と少し「しょうがないなあ」という感じで笑いながら言うオール巨人は、その後の本戦でのコメントにも滲み出ていたあの感じがして、今にして思うとそれもまた良かった。

上沼恵美子激推しのミキが視聴者投票の結果大差で勝利し敗者復活。

敗者復活戦の感想も書きたいが、マユリカまで見たところで寝落ちしたので書けない。

 

 ○

 

■見取り図 606点

結婚を意識してお付き合いしたい、というテーマといい、全体的にオーソドックスなスタイルとなっていた。またその中で話題がわりと移り変わるため、4分間のネタとしてのドライブ感というか迫力が薄くなってしまっていた。密度も。

富澤の評にもあったように、「ジャンボ勾玉」など面白いフレーズが幾つかあり、かつツッコミの盛山の声がハイトーンで特徴的なので、このツッコミがハマればもっと爆発し得ただろうし、実在しない人物をあたかもいる感じで流していたというネタは実際すごくウケていた。惜しかったな、と思ってしまった。

なお1組目だからか審査員全員にコメントが振られたが、この際の志らくの「最初は目新しさもないし50点付けようかと思った」という発言や、全体的にアドバイス然としたコメントから、真面目に品評をする空気が生まれてしまった。無論、審査員はいつも真面目にするのだが、それが客席にまでやや伝播したのが、少し痛かった。

 

スーパーマラドーナ 617点

隣人が温厚な顔をした怖い人いわゆるサイコキラーだったら怖いよね、という話からコントに入るネタ。武智が「怖い人」をするのだが、M-1決勝の常連である彼らのネタの傾向を踏まえれば、それはつまり田中がよりヤバいやつをするという宣言でもある。

実際、ドアを勢いよく閉めてドアを何個も閉める導入部分は完璧。次に田中は何をして武智を怖がらせるのだろう? とワクワクさせられた。しかし、包丁で少し刺したり、謎のギャグを披露したりと「狂人」っぷりを田中が披露しても、いつもよりキレが悪く映ったのは何故だろう?

思うに、武智の「怖い人」っぷりがステレオタイプすぎたのではないか。もちろん、それは田中の「よりヤバい」感じを強調するためなのだろうが、これがネタ全体に重さをもたらしてしまっていたような気がする。田中が1人で状況を再現し武智が横からツッコミを入れるスタイルも決まっていたように、田中の演技力は磨かれているのだが、今回の武智のサイコキラー演技がなかなか本人にハマっていなかったのが痛かった。

それでもこれが、田中の魅力を一番出せると思い選択したネタだったのだろうし、武智も「今年一番のネタでした」と言い切ったのはちょっとだけかっこよかった。まあ、そのあとでアレなことになるのだが。NON STYLE井上の当て逃げ事故に同乗していたりと、武智は何かと脇が甘い。

 

かまいたち 636点

タイムマシンで過去に戻れたら。このありがちな仮定に、あの娘に告白したい、とありがちな夢想をする濱家と、ポイントカードを作りたい、と言う山内。当然、山内の方がズレれいるとして話が進むのだが、次第に山内の論理性が勝ってきて、揚げ足を取ってでも自身の正当性を確保しようと濱家が自滅していき、ボケとツッコミが入れ替わっていく――このダイナミズムが会話っぽくて面白かった。つまり、ただマイクの前で喋っていただけの筈なのに面白くなっている、というような。キングオブコントチャンピオンなのにしゃべくり漫才で勝負しているのも、なんだかこう熱くさせる。

何が悪かったんだろう? と思うが、やはり後半がやや聞き取りづらくて、クエスチョンマークが頭に浮かんでしまい、やや引いてしまったのが原因なのかもしれない。だからか、漫才としてはヒートアップし勢いもどんどん増しているはずなのに、少し勢いがなくなったように感じた。

 

ジャルジャル 648点

小学校の頃やっていた遊びを懐かしむなかで、福徳が「国名分けっこ」という聞き慣れないゲームの名前を口にし、実践してみるところから始まる漫才。前年の「ピンポンパンゲーム」と同類の、半ばリズムネタ化したネタである。

今作は、前作ほど後藤が盛り上がらないので、福徳の言う「国名分けっこ」に翻弄される後藤という関係性が明確になっており、これが漫才として分かりやすくてよかった。後藤がずっと怪訝そうな顔をしてるのが何度見ても笑える。

ドネシアもゼンチンも少しだけ声の高さを下げて強調しているのだが、特に「チン」は金属を叩いたときの高い音のイメージがあるので、後藤が低いトーンで「ゼンチン」「チン」と言うたびに笑えてしょうがない。採点後のコメントではオール巨人が"天丼"の手法と結びつけて語っていたが、一番はそこじゃないか、と思う。

ただ2人がマイクの前で喋っていて面白い、という漫才のしきたりと、コント漫才とかXXを知らないとかのよくある漫才ネタの「嘘」をどうしてもできないというジャルジャルの生真面目さが産んだ、子供っぽいゲームにただ興じるという系統のネタは素晴らしい発明に思え昨年も大いに感動したのだが、本作はなおのこと素晴らしかった。なおあの「国名分けっこ」は、福徳が国名をどう言うかは毎度異なるらしい。頭おかしい。

ただし、こういうネタなので、ハマる/ハマらないの差が激しい。だから、あまり1位通過の漫才ではなかったのかもしれない。それでも彼らが高得点を出して最終決戦に進んでくれたのは嬉しかった。

 

ギャロップ 614点

モデル7人が揃っている合コンに4対4とするための人数合わせとして、毛利は頑なに林を呼ぼうとするというしゃべくり漫才である。

ここでは、ボケは「20代のモデル7人が揃った合コン」に「ツルツルに禿げた162cmの40代男性」である林を人数合わせでアサインしようとすることであるのだが、どうにも不条理性が弱い。もちろん、実際にそれをされたら嫌だと思う人が大半だろうしその意味でボケとして成立するのだが、あくまで「合コン」でなく「20代のモデル」というその他参加者の存在が嫌がる根拠になっているからだ。そしてそれに対するツッコミの根拠が「禿げ」のみであるのが苦しい。あまりにも一辺倒になってしまい、ダイナミズムに欠ける。

また、このボケとツッコミの条件が相まって、禿げに関する「自虐」が20代のモデルたちとなんか比べたら僕なんて……という「卑屈」に聞こえてしまう。上沼恵美子の指摘した「自虐は笑えない」は少し誤りで、正確には「卑屈は笑えない」ではないだろうか。

 

■ゆにばーす 594点

遊園地ロケで写真を撮られ、「激ヤバブスカップル」とSNSに上げられたことから、遊園地ロケの練習をする、という設定のコント漫才だったが、終始上手くハマらなかった。「反吐が出るわ!」がいっさいウケなかったのが、キツかったかもしれない。

少しネタが荒かった感は否めない。まず、昨年の「同室宿泊の練習」は、それでもいいか、と事務所=よしもとが画策しているとはらが言い、そうなってもよいように、と練習するという流れだった。必ずしも同様の流れにしろ、というわけではないが、遊園地ロケという限定的な状況を、既に起こってしまったことの再来を防ぐために練習する、という設定にやや無理がある。また、漫才内コント内漫才がワンシーンあったが、どうにも構造が多層的すぎて難しい。それに、そのコテコテの漫才をするというボケそのものが長すぎて、リズムが一旦途切れてしまっていた。まあ「考え過ぎ」なのかもしれない。

「たくさんの児童が待機しているよ」とか「お前神奈川県民やろ!」とか、流石の面白いフレーズは今回もそれなりにあったので、非常にもったいなく感じた。

 

■ミキ(敗者復活) 638点

ジャニーズに勝手に兄・昴生の履歴書を送った弟の亜生と、その行為のおかしさを指摘する兄の昴生のハイテンポなしゃべり漫才。

家族が履歴書を送るもの、という都市伝説を大真面目に実践し、昴生のツッコミを自虐と捉えて励まそうとする亜生の狂気が面白い。それだけジャニーズが王子様みたいなイケメンの記号として成立していることも凄いが、それにより亜生の狂気を立たせ、自虐として昇華させたのは見事。絶対いけるって!  と言う亜生の、実は根拠が薄いこと。コウセイのコウは昴(すばる)って書くだけで、「ヤバない!?」と鳥肌が立っている旨のアクトを全力でやる亜生のおかしさ。

個人的な好みを言えば、昴生の声がうるさくて、なんだか一辺倒な感じがししまって好きではないのだが、「SMAPに入りたい」ってボソッと言ったあたりは面白かった。

ただ、こうも上沼恵美子がファンだとか言うと、贔屓されている感じが出てしまって、変に印象づけられてしまうような気がして、これはこれで不憫である。

 

■トム・ブラウン 633点

サザエさん』の中島くんを5人集めて最強の中島くん「ナカジマックス」を作るというネタ。こうして文字に起こすと意味がわからない。

中島くん4人に、中島みゆきが1人紛れた結果、中島みゆきが一人勝ち(?)してしまう。最初のうちは、この中島みゆきのキャラが強いというボケでルールを説明し、そこへ次第に木村拓哉などのキャラが立っている芸能人を混ぜ込んでいくとどんどん変化していくようになり、ネタのスピードも加速する。途中からはサンプリング音楽を聴いているみたいで、少し情報が多すぎて笑わざるをえない感じがして少し悔しい。

ボケのみちおがこのおかしいゲームを始め、ツッコミの布川は「何言ってるんですかね」と言い最初こそ観客の側に立とうとするが、その直後からもうゲームへのワクワクを隠しきれない感じが狂気をはらんでいて面白い。ツッコミが、みちおの頭を掴むという乱暴なものであるのも、同様に狂気である。

 

霜降り明星 662点

豪華客船に乗りたいせいやがその演技を横でするのに、粗品がツッコミを入れる漫才。

始まる前は、トム・ブラウンの直後とあって大丈夫か?  と思ったが、「ボラギノールのCMか」というツッコミが全てをさらっていった。あの「ちょうどいいところに決まる」ツッコミの冴えが素晴らしい。モテキ』のリリー・フランキーのセックスみたいで。

個人的には、ダンスパーティーのくだりが、テンポが素晴らしくて好き。

それにしても粗品は顔がいい。顔がいいから、少々ナルシスティックに正面を向いて行うツッコミが映える。

 

■和牛 656点

ゾンビになったら殺してくれるか? という問答を繰り返す漫才。

まず設定がおかしいのだが、。水田は心が残っているかを重視するのに対して、川西は身体が腐っているかを重視する。これだけならば、人間とゾンビの境界は何かという問答にすらなり得るのだが、川西は「そこそこゾンビ」を許容するのに対し、水田はそれを「まだまだ水田」であるとして許容しない。この徹底ぶりがおかしい。

だが何より見ものは、「そこそこゾンビ」と化した川西に水田がご飯を作ってあげるコントが始まったところからだろう。ナチュラルに同棲していそうな二人もまずおかしいが、死後硬直している川西の演技が素晴らしい。カップルネタの女性もそうだが、和牛の面白さは何より彼の演技力に宿ると個人的には思う。完全にゾンビと化した水田に引っ張られる川西の足の動きが細かすぎて、腹が捩れるかと思った。

 

以上、1st ROUND。

得点数の上位3組(霜降り明星、和牛、ジャルジャル)が最終決戦に進出。

 

ジャルジャル 0票

ネタの入りに福徳のした「ジャルジャルでーす!」の名乗りが気になる後藤。お前だけジャルジャルみたいで嫌、と言うと、横でシャキーンって感じで決めポーズしてくれ、と言う福徳。実際にやってみて、なんだか添え物みたいで嫌だ、と後藤。

以降、後藤がいかに「ジャルジャルでーす!」の名乗りでの存在感が福徳と均等になるかを気にするくだりが続くのだが、このムキになる感じが面白い。このやりとりで、「自分を両手の親指で指す」動作の均等さを確保するというゲームのルールが説明されている。この流れは、ガソリンスタンドのコントに入っても続き、むしろコントを「ゲーム」が侵食してしまう流れも秀逸。

極めて彼ららしい漫才で、とても楽しく見られたが、一方で今にして思うとルール説明的な場面が長すぎたなような気もする。しかし、コント部分がゲームによって壊されてしまう構造を持っている以上、後半部分はあの長さが限界のような気もするし、他の要素を入れるとノイズになる。難しい。

 

■和牛 3票

オレオレ詐欺が心配だから、オレオレ詐欺の電話を自分で母親にかけて訓練をする、という設定のコント漫才

オレオレ詐欺の電話がかかってきたときの練習というイベント自体はありがちだが、それを自身の母親に行うという設定が狂っている。しかしそれも、あまり突飛な発想ではない。少しジャンプすれば考えついてしまう。それでもこのネタが抜群に面白いのは、自身の善性を疑わず人を騙したことに良心の呵責を感じていなさそうな水田の表情と、面白いぐらい騙されオロオロし怒る川西の表情という、二人の演技故であろう。本当に上手い。

騙し合いゲームが始まり、しかし水田に踊らされる川西のくだりなど、展開もあって面白いのだが、いわゆる「上手さを感じすぎてしまう」の域に入ってしまっていた気もする。過去2大会連続で準優勝に終わっていた和牛の今年の闘い方が、技術を見せつけて他を圧倒し文句のつかない優勝をしてやろう、というものだったのかもしれないが、もしかしたらやや策に溺れてしまったのかもしれない。

 

霜降り明星 4票

小学校の想い出の各シーンをせいやが再現し、粗品がツッコミを入れる漫才。

給食、プール、校長室と場面がコロコロ変わるので実は話がバラバラになりそうなところを、私立校の特徴(ハンドドライヤー、冷房)や同じ厳しすぎる先生(喋るな、濡れるな)を登場させることで一本の話にまとめあげている。せいやのハチャメチャな動きに隠れているが、よく考えられたネタである。また、少し変わったワードを選択しているように見えて実はただの駄洒落も多く(例えば「プリンセス転校生」)、分かりやすいので笑いやすいのもバランスが良い。「7代目ひょうきん者」もリズムが良いし、歌舞伎の見得を切る動きなのも、耳馴染んだフレーズ(○代目市川xxみたいな)を思わせ、リズムの良さに拍車をかけているような気がする。しかし、やはりこの上手さは、せいやの奔放さに上手く隠されている。せいや粗品のフリップの代わりと揶揄する声もあるようだが、せいやあってこその霜降り明星の漫才なのである。

正直1本目ほどの爆発力があったかと言われると少し疑問だが、面白かった。

 

優勝は7票中4票を集めた霜降り明星

初の平成生まれかつ史上最年少のM-1王者となった。

最初から4票が霜降り明星だったせいで、その時点で彼らの優勝は確定。以降はずっと和牛の票だったわけだが、それを見ながら「よっしゃー!!」と叫ぶせいやがうるさくて、しかしなんだか勢いを感じさせてエモかった。後ろに立つ和牛らの表情もまた、心に来るものがある。

 

今年のM-1を最後に、和牛*1ジャルジャルスーパーマラドーナギャロップかまいたち*2は参加資格を失う。プラス・マイナスもそうだ。

だから来年ももし開催されるならば、今度は一気に世代交代が進んだような大会になるんじゃないか、と思う。そしてそうだとしたらば、その口火を切ったのは霜降り明星ということになる。

まあ、御託はよそう。霜降り明星、おめでとう!

 

 ○

 

最後に、目下話題となっている「アレ」について。

 

とは言っても、別にあの2人に対して、行為を品評してもしょうがないので、 審査自体について。

 

今回は、1組目の見取り図のネタ披露後、審査員全員にコメントを求めた。その中で出てきたコメントが、やや品評然としたものだったので、少し会場の空気が固くなったような気がする。無論彼らがするのは審査であり品評なのだが、先述のとおりそれが客席に伝播してしまったような。そして、その主犯はおそらく志らくである。

例えば、かまいたちに対する「魅力の前に技術は太刀打ちできない」という評は、「笑う前に考えろよ」というメッセージに受け取れてしまうし、ジャルジャルに対する「笑えなかったけど頭の中は面白いと言っている」という旨の評も、あれだけ笑ったあとに言われては少し興が醒める。そのような意図がなくても。そして別に、志らくにも、客席を怖がらせようという意図なんかなかったはずである。

志らくの評自体は、技術や伝統性よりも発想などに重きをおいたという点で一貫しており、また落語を引き合いに出さないのもあの場においては真摯さの現れであろう。ただ、あまりに露悪的に振る舞いすぎて、観客を怖がらせすぎてしまったのかもしれない。50点のくだりとか。

 

一方、あの騒動で「これを言えば大衆の支持も得られるだろう」として持ち出されていそうな上沼恵美子への批判だが、実際、放送中は多くの人がそれをSNS上に投稿していたものだった。

まあ確かにミキ98点はやりすぎの感があったし、あそこまでされてはミキもやや不憫なのだが、結局は品評など好き嫌いである。先程の志らくの「発想」ではないが、何に重きを置いて評価するかの違いでしかない。その意味で言えば、彼女の言い方も芝居やネタがかっていたとはいえ、シンプルに笑えるものが好きという感性に従うという点でブレはなかった。まあ、それで十分じゃないか。

思えば放送中、上沼の発言を受けて、今田が「笑わないよー」と暫定ボックスだか控室だかに対して声を掛ける場面があった。見取り図のコメントが始まりだとすれば、これは予兆だったのかもしれない。

 

ただまあ、芸人たちが、今日は自分たちが主役になるんだ、と息巻いてやってきた決勝の舞台で、審査員の方が注目を浴びそうな展開は、望ましいものじゃないだろう。それもまた理解できる。また、審査にまったく不満を持つな、というのも難しい。だからといって、あの行為は明らかに「マズい」こともまた確かである。だからどう反応すべきかが難しく、どの部分にまず言及するかが、なんだかリトマス試験紙みたいになっていそうで触れるのも正直怖い。

しかし、M-1グランプリ2018について書くならば、まったく触れるのも不自然なので、少しだけ書いてみた。

 

いずれにせよ、面白いネタが見られて笑えれば、私はそれで満足である。

冬に行われる数々のネタ見せ番組が、ぬくぬくと家で楽しめるものたらんことを。

それだけが願いである。

 

*1:てっきりラストイヤーだと思っていたが、2006年結成らしく、まだ出場権はあるようだ。訂正。

*2:ギャロップかまいたちは2004年結成なので、おそらく来年も出場権がある。ただし、ギャロップはラストイヤーと番組中で言っていた気がする。訂正。