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ノーベル文学賞予想を外して

先日、私はノーベル文学賞の受賞者を予想した。

べつに金銭を賭けていたわけではない。

ただ戯れに、予想をしてみただけだ。

 

タイトルの通り、私はこの予想を外した。

2018年度受賞者のオルガ・トカルチュクは名前を出していなかった。

2019年度ペーター・ハントケはリストアップしながら、最後の「予想」に含めなかった。

◎ マリーズ・コンデ

◎ グギ・ワ・ジオンゴ

◯ 残雪

▲ アドニス

△ 多和田葉子

 

今回の記事は反省会だ。

要は、言い訳をつらつらと書いていきたい。

 

■予想を振り返ってみて

グギ・ワ・ジオンゴを予想に含めたことを、今とて「悪手」だとは思っていない。

自分としては、ポーランドオーストリアから選出されるつまり、2人ともヨーロッパ圏から選出されることは予想外であったからだ。オルソン委員長の「調和」という言葉が、地域にも適用されると思ったが、そうではなかったみたいだ。

ヨーロッパ以外の地域から選ばれるならばアフリカかアジアだと思っており、「対抗馬」にも中国の残雪を挙げていた。

「本命」でなく「対抗馬」であったのは、記事中でも言及したように、前回のアジア圏からの受賞者が中国の莫言であったことからだ*1

この点からアフリカの作家を「本命」に含むのは、「妥当」であったと思う。

 

まあ、この予想は外れたわけだが。 

 

そして、マリーズ・コンデ。

私が彼女を挙げたのは、まあヨーロッパから1人は選ぶんだろう、と思ったからだった。

しかし、この予想は外れた。

 

検討の過程が、ややジオンゴありきになり、少し強引になった形は否めない。

地域性などと嘯いたくせに、彼女のカリブ地域のルーツにより目を向けてしまった。

そのため彼女を、フランス語圏の作家としてのみ考えてしまった。彼女の「渡り」性や、アフリカでの生活を、半ば「切り捨て」て予想してしまった。

彼女も「本命」のレベルで挙げたこと自体を「誤り」としたいのではないが、あまり良い思考過程ではなかったと思う。

結論ありきの思考は、過程が歪になる。つと反省したい。

 

■ペーター・ハントケを外した理由

私は、予想記事の中で、オーストリアの作家ペーター・ハントケにも言及している。

ペーター・ハントケは、戦後ドイツ語文学の寵児とも言われた売れっ子である。

また、デビュー当時のマッシュルームカットから、ポップスターとも形容された。

彼の特徴は、小説、戯曲、放送劇など多彩な活動にある。村上春樹が受賞し、ノーベル文学賞候補と取り沙汰されるようになったカフカ賞も2009年に受賞している。

しかし実際には、最後のリストからは外してしまった。

これはこの記事の冒頭でも触れたとおりだ。

では、どうしてそんなことになったのか。

 

ヨーロッパ圏から1人受賞者が出るだろうと予想していた。

しかし、どこか天の邪鬼な心性が予想の段階で発揮され、あえてそれ以外の地域から主に選出したくなったのだ。

だからハントケは外れた。

そして、なんか「大穴」っぽいし! という短絡的な理由で、多和田葉子が入った。

まあ、日本人向けに書く予想記事だし、という打算もあった。

 

彼は、私の天の邪鬼と、この記事が書かれる言語そのものの犠牲となったのだ。

 

まあ、こんな記事中で扱いが良くなかったからとして、彼のキャリアからしてみて、そんなものは大した犠牲ではないし、何も痛くもないだろうけれど。そして、痛いものであれ、とも思わない。

 

■オルガ・トカルチュクの名を挙げなかった理由

今回のブックメーカーのオッズでは、女性作家が上位に来る傾向があった。

 

イギリスのブックメーカー「Nicer odds」では、1位にカナダの詩人アン・カーソン、2位にフランスの小説家マリーズ・コンデ、3位にポーランドのオルガ・トカルチュク、4位に中国の残雪があがっていたという*2

私はこのうち、2位と4位をリストアップしたこととなる。

 

1位のアン・カーソンを外した理由は明確で、北米大陸の作家だからだ。

2013年のアリス・マンロー、2016年のボブ・ディランが受賞者にいること、2017年のカズオ・イシグロがイギリスの作家であり、英語圏からの受賞者が続いていることから、2018, 2019年の、北米大陸からの受賞はないだろう、と踏んでいたのだ。

問題は、オルガ・トカルチュクをなぜ除外したのかだ。

 

まず、私は彼女をハンガリーの作家だと誤って記憶していた。

さらにハンガリーの位置を東欧だと誤解していた。

ハンガリーは言うまでもなく中欧の国である。北はスロバキア、東はウクライナルーマニア、南はセルビア、南西はクロアチア、西はオーストリアスロベニアと接し、囲まれている内陸国だ。

国旗のイメージから、なんとなく東欧だと思っていた。挙げ句、その国旗すら記憶違いしていた。

まあ、赤と白と緑という色はあっていた。私のイメージはこの色に由来したわけだが、これもまた短絡的な思考だし、どこから来たイメージなのか判然としない。なんならイタリアだって同じような色で構成されている。

 

東欧からの受賞者は、ハンガリー国籍の、2015年のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチがいる。

このため、このスパンで東欧からの受賞者はなく、出るとすればフランス、ドイツ以外の西中欧あるいは南欧であろうと思い、オルガ・トカルチュクを除外したのだ。

 

この勘違いがなければ、私はオルガ・トカルチュクのみをヨーロッパの作家ではリストアップし、「本命」に含めていたことだろう。

あるいは、「大穴」狙いで含めた多和田葉子を外し、そこに保険としてペーター・ハントケを含めたかもしれない。

ただ、今となっては、考えても詮無いことだ。

 

以上が、今回の予想の反省及び言い訳である。

 

それにしても、受賞者の予想なんて、本当にろくでもない遊びだな、と思う。

受賞自体が作品の価値を上げるわけでも、損なうわけでもないのに。

 

 

*1:だから、その次点に、シリアのアドニスを挙げている。「大穴」として多和田葉子を含めたのは、日本人が日本人向けに書いた記事なので含めたというところが大きい。ナショナリズムと言われればそこまでだ。

*2:https://japanese.joins.com/JArticle/258375?sectcode=A00&servcode=A00